小学生の子供が学校でいつもひとりですごしている、と聞いたら、心配になりますよね。
家ではよく話してよく笑っていつも元気なのに、学校にいくと、静かでお友達にも全然話さないわが子。
お友達に話しかけられると、返事もできず無言で固まっているんです。
表情もこわばってる。
内気でおとなしい性格はわかっている。でも、少しも声が出ないなんて、おかしいよね。
っていつも心配していました。
先生に相談してみると、
「確かにおとなしいですけど、学校では問題なくすごしていますよ。」
という返事。
休み時間はいつもひとりでいるらしいのですが、と先生に言うと、
「そういうお子さんは他にもいらっしゃいますよ。」と、先生。
そういわれてもやはり心配なのでした。
低学年では先生が背中を押してくれた
子供から、休み時間はひとりで教室ですごしている、と聞いて、親としてはなんとかしてあげたいなと思いました。
お友達に一緒にあそぼう、って声かけてみたら?
と言ってみますが、それができる子なら苦労はしないですよね。
うちのにとっては子は、他の子に声をかけるというのがものすごく勇気がいることのようで、それがなかなかできないでいたんです。
1年生のとき、先生にそのことを話しましたら
「では、休み時間にみんなで校庭で遊ぶときに声をかけてみますね。」
と言ってくれました。
その作戦はうまくいって、先生につれられてお友達と一緒に校庭で大縄跳びやドッヂボールといった遊びができるようになりました。
それをきっかけに少しお友達との交流も増えてきたようでした。
ところが2年生になってクラスが変わると、また新しいお友達の輪の中になかなか入っていけなかったんですね。
また担任の先生に相談したところ、やはり休み時間で遊ぶときなどに声をかけてくださったり気を使ってくれたようで、わが子もお友達と遊べるようになっていったのです。
このように1,2年生の低学年のうちは、先生の介入がけっこう効果的だったのです。
3年生で、またお友達ができなくなった
しかし、3年生になったとき、2年生の最後でようやく仲良くなったお友達とクラスが離れてしまったんです。それが2000年のこと。新型コロナウィルス感染拡大の影響で、学校も休校になってしまい、お友達と会えない日々が続きました。
そして、学校が再開したとき、内気なわが子は、新しいクラスのお友達の中にはいっていけなかったのです。毎日、休み時間はひとりで教室で折り紙をするか、図書館に行って本を読むような日々が続きました。放課後に遊ぶようなお友達もいません。
「お友達と一緒に遊んでみたら?」といっても
「つまらないからいやだ!」
というのです。
あまりしつこく聞いてはいけないと思いつつも、
毎日
「今日は休み時間どうしていたの?」
と聞いてしまいました。
でも、いつも「ひとりでいた」
という答えだったのです。
スクールカウンセラーに相談した
学校では一人で過ごす、放課後も家でゲームをしてすごす。そんな毎日が続きました。心配だけど、様子を見ていた方がいいのかな。親としても、そんな葛藤が心に生まれました。
そんな悩みを自分の友達に話すこともありました。
友達のひとりは、
「それは専門家に相談した方がいいよ。」
とアドバイスをくれました。
確か、学校でスクールカウンセラーに相談できるはず、ということを思い出しました。カウンセラーさんに相談して解決できるかどうかはわからないけれど、何かアクションを起こしたい。ダメで元々という気持ちで相談してみようかな。友達の一言で、そんな思いが心の中に生まれました。
そう考えたらすぐに行動に移しました。
まずは担任の先生に電話をして、事情を話し、スクールカウンセラーと話がしたいと伝えました。先生はすぐにスクールカウンセラーとの面談の約束をとってくれました。スクールカウンセラーは毎日学校にいるわけではないので、約束は2週間くらい先となりました。
約束の日に学校に行き、スクールカウンセラーの方と二人で話をしました。
私は子供の様子を話し、心配していることを告げました。
お友達から話しかけられても返事もできず黙っている様子を何度も見ていたので、私は、子供が「場面緘黙」という症状ではないのかと考えていました。そのこともスクールカウンセラーに相談したかったことです。しかし、スクールカウンセラーさんは、それはきっと違う、といいます。わが子は、友達とは話せなくても、教室で授業中では積極的に発言もしていましたので、それは、場面緘黙には当てはまらないようです。
スクールカウンセラーさんは、子供と二人だけで話をしてみましょうと提案してくれました。その日程はまた後日設定する、ということになりました。
そのとき、子供がもし嫌だといったら無理にはしない、ということになりました。私は、まずはそれとなく、今度スクールカウンセラーの先生と一緒に話しをしようって言われると思うけど、もしいやだったら断ってもいいよ、と子供に伝えることにしました。
ちょっとだけ負荷をかけてみた
そのころ、子供は相変わらず学校でも休み時間はひとりで過ごしていました。
子供は毎日学校から帰ってきても、家でゲームをしていました。
お友達と遊ぶことも全くありません。
私は、「今度、スクールカウンセラーさんとお話ししてみない?お話ししましょうって言われると思うけど、もし嫌なら断ってもいいよ。」
という話をしました。子供は話をしてもいい、という反応でした。
スクールカウンセラーさんとの面談のあとも、私は子供の状況についていろいろと考えを巡らせていました。このまま、静かに見守っていてもいいのだろうか。スクールカウンセラーさんは、「ひとりでいるのが好きなお子さんもいます。」と言ってました。しかし、わたしは親のカンで、わが子は一人でいるのが好きなのではなく、どうやって友達とかかわっていいのかわからないだけで本当はみんなと一緒に遊びたいはず、と感じていました。なので、どうやったら「心の壁」を乗り越えられるのか、どうやってサポートしたらいいのか、知りたいと思っていました。
確かに、家にいたら安全で傷つかないで済むでしょう。
でも、それでいいのだろうか!?と私は思いました。小学校時代は、友達とたくさん遊ぶうちに、人間関係について学んだり、楽しい思い出がつくれたりするものではないのだろうか、と感じていましたので、このままではいけない、とすごく焦る気持ちがありました。
でも、子供を追い詰めるのもよくないだろうし。
という葛藤が、私の中にはありました。
わが子がお友達に関わっていけないのは、うまくいかなかったらどうしよう、という恐れがあるのかなと思いました。
なので、子供に言いました。
「お友達に自分から声をかけてあそんでおいで!もし嫌なことがあったら家に帰ってきたらいい。家に帰れば、いつでも安心できるんだから心配しないで。ママはいつもここにいてあなたを守るよ。
友達に遊ぼうっていって断られたり、けんかしたり、そういうこともあるかもしれないけど、そんなこと、全然なんともないことだし、経験していかないといけないことなんだ。
だから、勇気をだして、お友達の中に入って行ってみなさい。
大丈夫だよ!」
って話したんです。
わが子は、何も言わずに聞いていて、泣いていました。
何も言わないけど、私の言葉は子供の心に響いたという手ごたえを感じました。
ようやくきっかけをつかんだわが子
スクールカウンセラーさんとの面談の日の3日くらい前のことです。
突然、子供が学校から帰ってきてから言ったのです。
「今日、友達と公園で遊んでくる。」
私はえ?と思いました。嬉しい驚きです。
その日を境に、子供は休み時間も他のお友達と校庭で遊んだり、放課後遊ぶ約束をして帰ってくるようになったのです。
スクールカウンセラーさんとの面談も、問題なく終わりました。
面談のあと、カウンセラーさんから電話が来て、面談中の様子を聞いたのですが、子供は質問にもはきはきと答えていたようです。そして、家庭でも学校生活でも困っていることは特にないと答えていたということを聞きました。
カウンセラーさんにも、面談の少し前から友達と遊ぶようになったことを伝えました。
この経験では、カウンセリングを受けたことで子供が友達と交流できるようになったわけではないのですが、
「カウンセラーさんに相談してみよう」
といわれたことで、子供自身が勇気を出して自分の殻を割って、友達にぶつかってみようと思ったのではないか、と推測しています。
もしくは、親の私が、子供の背中をちょっと強めに押したことがきっかけになったのかもしれません。
一旦、きっかけをつかむと、子供は本当に楽しそうに友達と遊ぶようになりました。
いつもこわばった顔で独りぼっちで過ごしていた時期を思い返すと、本当によかったと安堵しています。
もしかすると、同じような内気な性格のお子さんをお持ちの方はたくさんいるんじゃないかな、と思います。
きっと心配していることだと思います。私は何が正解かはわかりませんが、プレッシャーをかけずに見守ることは大事ですが、放置してはいけないと感じました。
一緒にどうしたらよいのか考えたり、ときには専門家に相談するというようなアクションは必要だと思います。
内気な子供は親にさえ悩んでいることを見せないかもしれないです。でも、きっと心の中ではどうしたらよいのか考えたりしているはずです。
親も一緒に考えてくれているという姿勢をみせるだけでも、心強い支えになると思うんですね。
結局は、子供本人が心の準備を整えたり、強さを身につけなければならない問題です。親ができるのは、心のサポートといったところでしょうか。
わが子を見てきて思うことは、
「子供は成長する」
ということです。
できないことでも、だんだんできるようになるんです。
スピードは遅くても、少しづつでも、子供は確実に成長していきます。
だから、たとえ内気な性格であっても、子供の心が成長していけば
自分から友達と交流できるようになるということを感じています。